
最後に紹介する患者力は、コミュニケーション能力です。対話のない情報収集には限界があります。自分の病状について知るための基本は、やはり主治医とのコミュニケーションです。
インフォームドコンセントは、「十分な説明を受けた上での、患者による自発的な同意あるいは決定」と説明されます。米国から来た考え方であり、日本の医療にはそぐわないという意見もあります。確かに、患者さんが治療法に関して精通し、全てを自己決定していくという解釈であれば、それを重荷に感じる人は日本では多いでしょう。
しかし、患者さんがインフォームドコンセントによって本来目指すべきものは、「自分の価値観に見合う医療や治療法にめぐり合うこと」です。そうであれば、患者さんが自分の価値観や人生観、希望を医師に伝え、医師はその希望に沿った治療が可能となる方法を考え、お互いに話し合うことにより治療法を決定することができるはずです。患者さんは治療法を詳しく知るというよりは、「自分はどのように治療し、どのように生きていきたいか」というビジョンをはっきり持ち、医師とのコミュニケーションを円滑にすることにより、自分にあった医療に出会うことができるでしょう。
診察室での医師との関係以外にも、コミュニケーションの場はあります。患者さん同士で情報の交換や共有ができる集まりに参加してみるのもいいでしょう。
患者会とは、同じ病気をもつ患者さんが集まって結成された組織です。組織によって形態は様々ですが、定期的に勉強会や交流会を開き、患者さん同士の情報交換や交流が活発に行われています。日常生活の中でのちょっとした不便だとか、生活の工夫の仕方など、患者さん同士だからこそ共感できる話題も多く、得るものは多いはずです。また、自宅にひきこもりがちな人は、たまに外出して同じ悩みを持つ仲間と話をするだけで、気分が晴れやかになるものです。
患者さんが利用できる助成制度などの知識もそこで得られることは多いのです。
日本各地には様々な患者会があります。お住まいの地域から参加可能な患者会を探し、ぜひ参加されてはいかがでしょうか?
肝臓病教室は、この暮らしのミニ情報の監修者である慶應義塾大学看護医療学部教授の加藤眞三先生が始めたグループワーク型の勉強会です。診察時間内では、肝臓病について詳しい説明ができないので、患者さんを集めて勉強会を開こうというアイディアから始まりました。
肝臓病教室の実際は、前半に医師や栄養士による講義、後半は患者さん同士の交流を含めたグループレッスンといったプログラムが一般的です。
肝臓病教室は1992年から実施され、今では日本全国の100以上の病院で実施されています。

参考資料:
『患者の生き方』 加藤眞三著 春秋社
『教育と医学』 加藤眞三先生 プリント資料